所信表明(2025年6月16日)
令和7年6月市議会定例会の開会に当たり、所信を申し述べさせていただく機会をいただきましたことに厚くお礼を申し上げますとともに、市政運営について、私の決意の一端を申し述べさせていただきます。
この度の市長選挙におきまして、市民各層の皆様方からのご支援を得て当選の栄に浴し、第21代伊東市長として市政のかじ取りを担える喜びを感じるとともに、その責任の重大さに身の引き締まる思いであります。
まず、市長選を通じて一貫して訴えてきた、新図書館建設事業の中止につきましては、市長就任日の5月29日に中止を表明した上で、今定例会に提出させていただきました令和7年度伊東市一般会計補正予算(第1号)におきまして、新図書館建設工事請負費及び工事監理業務委託料を全額減額するとともに、令和7年度から令和9年度までの間において設定していた継続費総額42億5,500万円につきましても削除する提案をさせていただきました。
一方、現在の図書館の状況を見ますと、外壁が落下するなど、老朽化が著しく、フロア面積の狭さに起因する閲覧席、小中高生や親子が利用できるスペースに加え、駐車場も不足しており、蔵書冊数や貸出冊数につきましても、同規模の自治体と比べ見劣りする状況となっておりますことから、いずれかの時点で拡張も含めた再整備を検討しなければならないと考えておりますが、しばらくは現在の図書館を活用しつつ、将来的に旧西小学校を始めとした廃校利用も含め、市民の皆様のご意見を伺う機会を設けながら、どのような整備を行うことが、コスト面も含め現実的かつ効果的であるのか、また、伊東市全体の図書館政策の再構築につきましても、併せて調査研究を進めてまいります。
次に、文化ホールの建設につきましては、現在の観光会館の老朽化が著しいことから、多くの市民の方から、再整備を求める声を伺いました。文化ホールの建設に当たりましては、令和2年12月に提出された「図書館・文化ホール建設に向けた検討会最終報告」におきまして、伊東駅前と旧西小学校が建設候補地として挙げられており、今年度の一般会計予算において、建設地選定業務に関する委託料が計上されておりますが、先ほど申し述べました新図書館の移転先との兼ね合いもございますことから、今年度中に文化ホールの建設地を決定することは見送ることとし、今後、どのような文化ホールを整備するかという観点も含めた事業のあり方や進め方について再検討してまいります。
併せて、市民の皆様から、旧西小学校の利活用に関する要望についても伺っておりますことから、各方面からのご意見を伺う中で、暫定的になる可能性もございますが、有効活用できる手法について検討を進めてまいります。
喫緊の課題となっております、宇佐美認定こども園の設置につきまして、前市長は、伊東市幼児施設連絡調整協議会の中間答申を受け、宇佐美臨海テニス場跡地への新設を白紙撤回いたしました。私も同じ課題認識を抱いており、宇佐美臨海テニス場跡地への認定こども園の新設は考えておりませんが、宇佐美保育園の早急な対応策として、仮移転を進めていく必要がございます。仮移転先として、宇佐美小学校などが選択肢として考えられますが、現実的に可能な取組について、早急に検討を進め、まずは仮移転を進めることにより、子どもたちの安全・安心の確保につなげてまいります。
私は、本市のまちづくりには、中長期的な社会的ビジョンやまちのあるべき姿を具体化したグランドデザインが不足していると感じており、大きなまちづくりの地図を描いていくことが必要であると考えております。
令和6年度末に、市制施行100周年となる2047年を視野に入れた「伊東市長期ビジョン」が策定され、庁内若手職員によるプロジェクトチームにより、本市のあるべき姿と、実現に向けた取組の方向性がとりまとめられたことは、一種のグランドデザインが作られたものとして評価しておりますが、このまちがどのようなまちでありたいのか、また、どのようなまちであるべきかについて、市民と行政、地元の民間企業が膝を突き合わせ、大きな未来の設計図を描く必要があるものと認識しております。
新図書館や文化ホール、宇佐美の認定こども園につきましては、大きなまちづくりの地図の上に位置する大切な役割を果たす施設でありますことから、その都度、建てられる場所を選定し、建てられる施設を建てていくのではなく、市民にとって本当に必要な施設の優先順位をつけて、最適な場所を選定し、施設を配置していくべきであると考えております。
今年度は、第五次伊東市総合計画の後期計画策定に向けた見直しの年度であり、また、都市計画マスタープランや立地適正化計画につきましても、今年度から令和9年度にかけて改定を行うこととしておりますが、これら改定の取組の中で、広範な市民の方の意見を伺い、まちづくりのグランドデザインを描いてまいりたいと考えております。
その他の重要な課題といたしまして、地域資源の魅力向上につきましては、老朽化した既存の観光施設を計画的に整備し、利用者の利便性を向上させ、高付加価値化を図ってまいります。また、本市の魅力や価値あるものを明確化し、プロモーションによるブランディングを推進するとともに、テーマ性をもった体験重視型観光への対応を進めてまいります。
本市が管理する老朽化した道路や橋・港、水道・下水道などのインフラや、公共施設の補修・更新につきましては、優先して取り組むべき事項であると考えており、国県の予算等の活用も図る中で、必要な点検を行い、修繕を計画的に進めるとともに、施設の複合化につきましても、調査研究を進めてまいります。
公共交通体系の充実につきましては、交通事業者の経営に負担をかけず、既存の交通網となじむ形での、新たな交通サービスの導入が求められていると考えますことから、コミュニティバスや乗合タクシーなど、他の自治体での導入事例を参考にしつつ、デジタル技術の活用なども含め、本市にふさわしい交通手段の導入を目指してまいります。
また、防災機能を兼ねた緑の都市公園や、子どもを安心して遊ばせることのできる子ども公園の整備に向け、適地の選定など調査研究を進めてまいります。
福祉の充実につきましては、障がいを持つ方、生活困窮者、高齢者福祉、子どもに対する支援などが、従来型の縦割りのまま運営されており、担当課が複数にまたがっております。このような行政運営を継続した場合、今後、増大し続ける福祉へのニーズ等に対し、供給量が追い付かなくなることが想定されますことから、先進自治体の事例では、国の制度を活用した「重層的支援体制」が整備されております。本市におきましても、現行の子育て・福祉施策を包括的に支援できる体制へと更に充実させるとともに、福祉施策を担う地域や組織、事業者への必要な支援を適切に行い、市民満足度の高いサービス提供を進めてまいります。
地域医療の充実につきましては、市民の皆様に対し、地域医療機関に関する分かりやすい情報提供を行うとともに、市民の皆様が質の高い医療を受けることができるよう、医療体制の充実等を図るための各種支援を行ってまいります。
市民の皆様への情報提供や意見聴取といった広報広聴につきましても、改めてその大切さを感じました。広報いとう、公式LINEを始めとするSNSの活用など、様々な手段を用いて広報を行っており、広聴につきましては、前市長におきましても、地域タウンミーティングや市長への手紙、市政WEBアンケートなどを通じ、丁寧に行ってこられたと評価しておりますが、これまでに、市政情報が上手く伝わらなかった方への情報提供の方法や、市政に対するご意見を述べる機会に乏しかった方からの意見聴取をどのように進めるかという点につきましては、これまでの事業をリニューアルの上、引き続き取組を進めるとともに、新たな手法につきましても積極的に実施してまいりたいと考えております。
私の市政を担うに当たっての所信の一端を披歴させていただきました。
私たちのまちに本当に必要なものは何か。常に市民目線を忘れず、初心を決して曲げることなく、一方で皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、即断即決し、行動力を発揮して、伊東のまちが真の意味で活力のあるまちに再生を果たすため、市民の皆様との協働により、誠心誠意、市政運営に努めてまいる所存であります。
また、私は、市長と議会とが議論を重ねながら市の発展に尽力しなければならないと考えており、議員各位におかれましても、市政に関するご提案を、私に積極的にお寄せいただき、ともに市政の課題解決に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
以上、市長就任に当たっての所信表明といたします。
2025年6月16日
伊東市長 田久保 眞紀
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更新日:2025年06月16日